学び 小学1〜3年 小学4〜6年

【第1回】学研教室の先生に聞く! 大事な学習の話

この連載では、地域で子どもたちの学びと成長に長年寄り添ってきた学研教室の先生が、子育ての悩みや毎日の生活の中で「知っておくと安心できること」「今だからこそ大切にしてほしいこと」を分かりやすくお届けします。

今回は、新1年生の保護者の方が直面しやすい「宿題が進まない」という悩みについて、その背景と親子で笑顔になれる考え方をお届けします。

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「宿題しなさい!」と言う前に。新1年生、5月の壁を乗り越える関わり方

入学から1ヵ月。真新しいランドセルを背負い、少し緊張しながら通い始めた4月が過ぎ、5月になると子どもたちの表情にも変化が見られるようになります。学校生活に慣れてきた安心感と同時に、疲れや甘えが顔を出し始める時期です。

この頃、多くの家庭で耳にするのが「宿題がなかなか進まない」「やろうとしない」といった悩みです。4月はあんなに張り切っていたのに、どうして急に――。そう感じる保護者の方も少なくありません。

しかし、この変化は決して特別なことではなく、むしろとても自然な成長のプロセスです。

入学直後の子どもたちは、新しい環境の中で精一杯がんばっています。慣れない教室、初めての先生や友達、時間割に沿った生活。大人が思っている以上に、子どもたちは多くのエネルギーを使っています。その緊張状態が少し緩むのが、ちょうど5月頃です。

そのため、これまで頑張っていた分の疲れが出たり、「おうちでは甘えたい」という気持ちが強くなったりします。また、保護者の方も「どこまで手伝えばいいのか」「どのくらい口を出していいのか」と、関わり方に迷いが出てくる時期でもあります。

こうしたさまざまな要因が重なり、「宿題問題」として表れてくるのです。
では、この時期、どのように子どもと向き合えばよいのでしょうか。

「正しくできること」よりも大切な、学びの土台づくり

つい、「早くやりなさい」「ちゃんとやらないとダメでしょう」と声をかけてしまうこともあると思います。間違いを見つけると、「ここ違うよ」と指摘したくなるのも自然なことです。

けれども、5月の子どもたちにとって本当に大切なのは、「正しくできること」よりも、「やってみようと思える気持ち」です。

この時期は、学力そのものを大きく伸ばすというよりも、これから続く学びの土台を育てる段階にあります。机に向かう習慣や、自分で取り組もうとする姿勢、そして「できた」という実感。こうした積み重ねが、後の学力へとつながっていきます。

特に大切なのが、自己肯定感と学習習慣の関係です。

プロセスに目を向け、小さな「できた」を言葉にする

子どもは、「できた」「認めてもらえた」という経験を通して、「またやってみよう」という意欲を持つようになります。反対に、できていないことばかりを指摘されると、自信を失い、「どうせできない」と感じてしまうこともあります。

だからこそ、この時期は結果よりもプロセスに目を向けることが大切です。

たとえば、「最後まで座っていられたね」「1問できたね」「昨日より少し早く始められたね」といった、小さな「できた」を見つけて言葉にしてあげること。それだけで、子どもの気持ちは大きく変わります。

一方で、やる気を下げてしまいやすい声かけもあります。

「〇〇ちゃんはもうできているよ」といった比較や、「どうしてこんなこともできないの?」という否定の言葉、そして細かすぎる指摘。こうした関わりは、子どもの自信や意欲を少しずつ削いでしまうことがあります。

安心して取り組める環境とルールの整え方

もちろん、すべてを見守るだけでよいわけではありません。大切なのは、安心して取り組める環境を整えることです。

たとえば、宿題をする時間をあらかじめ決めておくことも有効です。「帰っておやつを食べたらする」「テレビの前に10分だけする」など、シンプルなルールをつくることで、迷いが減り、行動に移しやすくなります。

また、机の上をすっきりさせたり、学習のリズムを整えることも、子どもにとっては大きな助けになります。環境が整うことで、取り組むことに集中しやすくなるからです。

そして何より、保護者の方の関わり方が、子どもにとっての安心材料になります。

「できていないこと」ではなく、「できていること」に目を向ける。
「正すこと」よりも、「認めること」を大切にする。

その積み重ねが、子どもの中に「自分は大丈夫」という感覚を育てていきます。

保護者の方の心の余裕が、子どもにとっての安心材料に

5月は、できる・できないを判断する時期ではありません。
これから長く続く学びに向けて、学ぶ姿勢を育てるスタート地点です。

うまくいかない日があっても大丈夫。やりたがらない日があっても、それも含めて成長の一部です。

「ちゃんとやらせなければ」と思うほど、保護者の方の気持ちも苦しくなってしまいます。そんなときこそ、一歩引いて、「今は学習の土台をつくっている時期なんだ」と捉えてみてください。

子どもは、安心できる環境の中でこそ、自分の力を伸ばしていきます。

どうか焦らず、比べず、目の前のお子さんの「できた」を一緒に見つけてあげてください。その小さな積み重ねが、やがて大きな自信と力につながっていきます。

5月は、不安になる時期であると同時に、大きく伸びる準備の時期でもあります。
その一歩一歩を、あたたかく見守っていきたいですね。