この連載では毎月、歯科医師が歯の健康について分かりやすくお届けします。
毎日の子育てや妊娠生活の中で「知っておくと安心できること」「今だからこそ大切にしてほしいこと」などを学べる記事になっています。
今回は、ハロウィーンなどでお菓子を食べる機会が多くなるこの時期に、虫歯予防として、お菓子の種類やおやつの量・時間を決める食べ方のお話です。

歯科ミントクリニック
院長 竹島 健太郎
2002年 鶴見大学歯学部卒業。2004年 横浜総合病院に非常勤歯科医師として勤務。
2007年 歯科アールクリニック勤務を経て、2010年に歯科ミントクリニックを開院。
インディアナ大学客員研究員。日本補綴歯科学会会員、日本臨床歯科学会会員(SJCD)、日本顕微鏡歯科学会会員。Er:YAGレーザー臨床研究会所属。
インビザラインライセンスドクター。臨床歯科麻酔管理指導医。そのほか、各種学会・研究会に所属。
ハロウィーンのお菓子を楽しむ工夫
〜おやつの量・時間を決め、親子で楽しくむし歯予防〜

毎日の子育て、本当にお疲れさまです。
10月といえば、子どもたちが楽しみにしているハロウィーンの季節ですね。仮装をしたり、「トリック・オア・トリート!」と言いながらお菓子をもらったり、親子で楽しめるイベントのひとつです。
一方で、「こんなにたくさんのお菓子を食べて、むし歯は大丈夫かな?」と心配になるママ・パパも多いのではないでしょうか。
ハロウィーンだからといって、お菓子を禁止する必要はありません。大切なのは、お菓子の種類だけではなく、「どのくらいの量を、どのくらいの時間をかけて食べるか」という食べ方の工夫です。
お菓子は最初に食べる量を決める

ハロウィーンでは、普段よりたくさんのお菓子が集まりがちです。もらったお菓子を袋ごと渡してしまうと、子どもは楽しくて、つい次から次へと食べ続けてしまいます。
そこでおすすめなのが、最初にその日に食べる分だけを親子で一緒に選ぶことです。
「今日はこの中から3つ選ぼうね」「これは今日のおやつにして、残りは明日にしようね」。このように、子ども自身に選んでもらうと、我慢させられているのではなく、自分で決めているという感覚を持ちやすくなります。
残ったお菓子は、子どもが見えない場所にしまっておくと安心です。兄弟がいる場合は、それぞれの分を小さな袋や容器に分けておくのもよいでしょう。
“ダラダラ”食べを避けることが大切
むし歯予防で特に気をつけたいのが、お菓子を長時間ダラダラと食べ続けることです。
食べ物や飲み物が口に入ると、口の中では細菌が酸をつくり、一時的に歯が溶けやすい状態になります。その後、唾液の働きによって少しずつ元の状態に戻っていきますが、またすぐにお菓子を食べると、歯が休む時間がなくなってしまいます。
そのため、おやつは「時間を決めて」「場所を決めて」食べることがポイントです。
たとえば、「午後3時から15分間だけ、テーブルで食べる」というように、食べ始めと終わりを決めておきましょう。テレビや動画を見ながら食べると、時間が長くなりやすいため、タイマーを使うのもひとつの方法です。
食べた後は水やお茶を飲もう

お菓子を食べた後は、水や麦茶を飲むようにしましょう。口の中に残った甘味を洗い流す助けになります。
特に注意したいのが、ジュースやスポーツドリンク、乳酸菌飲料などを少しずつ長時間飲むことです。飲み物にも糖分が含まれている場合があり、何度も口にすることで、口の中がむし歯になりやすい環境になってしまいます。
ハロウィーンの日も、飲み物は水かお茶を基本にすると安心です。
お菓子の選び方にも工夫を
お菓子は、口の中に残りやすいものや、長い時間なめ続けるものほど注意が必要です。キャラメルやソフトキャンディー、グミなどは歯にくっつきやすく、口の中に残る時間も長くなります。また、アメを長時間なめ続けることも、歯が酸にさらされる時間を長くしてしまいます。
すべてのお菓子を避ける必要はありませんが、選べるときには、短時間で食べ終わるものや、歯にくっつきにくいものを選ぶとよいでしょう。
「どれにする?」と親子で相談しながら選ぶ時間も、ハロウィーンの楽しい思い出になりますね。
食後の歯みがきはいつも通りに

イベントの日だからといって、歯みがきを特別に難しく考える必要はありません。お菓子を食べた後は水やお茶を飲み、いつも通り、寝る前には丁寧に歯をみがきましょう。
子どもが自分でみがいた後は、保護者の方が仕上げみがきをしてあげてください。特に奥歯の溝や、歯と歯の間は汚れが残りやすい場所です。 年齢に合わせた量のフッ化物配合歯磨剤を使うことも、むし歯予防に役立ちます。歯が生えてから2歳頃までは米粒程度、3〜5歳頃はグリーンピース程度が目安とされています。使用方法について迷う場合は、かかりつけの歯科医院で相談してみましょう。[注1]
最後に
ハロウィーンは、子どもたちにとって特別な楽しい一日です。「お菓子はダメ」と禁止するよりも、「食べる量と時間を一緒に決める」ことで、楽しみながらむし歯予防につなげることができます。
お菓子を小分けにしたり、タイマーを使ったり、食べた後に水やお茶を飲んだり。家庭に合った方法で、無理なく取り入れてみてください。
お菓子を食べた後に、「歯を守るために歯みがきしようね」と声をかけることも、子どもが自分の歯を大切にするきっかけになります。
今年のハロウィーンは、親子でお菓子を楽しみながら、歯の健康について考える一日にしてみてはいかがでしょうか。
[注1]フッ化物配合歯磨剤の使用量・濃度は、厚生労働省および日本小児歯科学会などの推奨を参考にしています。

