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編集部のライターたちが書き下ろした
富山での子育てに役立つ情報をまとめています

ヘルスケア
2020.08.04

【健康Q&A 小児歯科】下の歯が出て受け口に。治療時期は?

妊娠、出産、子供の病気…その都度悩みがたくさん出てくると思います。そんな気になる悩みを各診療科の先生にお聞きしました。
このページは、はっぴーママ富山版に掲載している「健康相談室」の過去に掲載した記事の中から抜粋してお届けします。

 

ご相談内容
下の歯が出て受け口になっています。 治療時期はいつ頃がよいのでしょう?

 

1歳前後ではわからない
生後5~6カ月で下の前歯が生えだし、1歳半検診の頃に第一乳臼歯が生えてきます。

保護者の方が、受け口に気付かれるのは、上下の前歯が反対になった状態の1歳前後ではないでしょうか?

この時期は、まだ奥歯が生えておらず咬み合わせの高さが低いので、受け口のような咬み方をするお子さんがたくさんおられます。

 

1歳半頃と3歳頃に受診
ちなみに、泣くときの表情を見てください。下あごを突き出して受け口のように泣きますね。ですから、前歯だけが反対の時期に当医院に来院された方には、第一乳臼歯が生える1歳半頃と、第二乳臼歯が生えそろう3歳頃に受診するようにお話しています。この時期には市町村で検診が行われているので、指摘を受ける場合もあります。 前歯が反対でも、1歳半頃に、受け口が治っていることもありますので、前歯だけが反対の時期には治療を開始せず経過観察します。

乳歯列の完成した3歳頃に、前歯が反対の場合は反対咬合(受け口)と診断します。小児歯科医、矯正専門医に相談され、経過観察か治療開始かの指示を受けるとよいと思います。

 

反対咬合(受け口)

下の前歯が上の前歯をおおっている

 

遺伝傾向があるため、早期治療が望ましい
受け口は遺伝傾向がありますので注意が必要です。症状が悪化するかどうかは、家系的に受け口の方がおられるか?等の問診、撮影ができれば、エックス線規格写真で予想します。

遺伝傾向のため不正咬合の中でも、受け口は早期治療を推奨されていますが、3歳児でお子さんに合わせた装置を使うのはなかなか難しいと思います。そこで装置のための型を取ったりしなくてもよい入れ歯型の装置を、第一選択として使うことがあります。

この装置は、就寝時にだけ使います。お子さんの協力があればかなり効果のある装置です。使う期間は、程度に合わせて1年から3年ほどになります。この装置は、遺伝的要素のない方のみに推奨されていますが、当院では他の目的もあって遺伝要素のあるお子さんにも使っています。

また、帽子のような装置を下あごの過発育防止のために主に就寝時に使う場合もあります。

 

無理じいはしないこと
お子さんの場合、装置を嫌がらずに使ってくれるかどうかに個人差があり、治療者側からの予定どおりに進まないことが多々ありますが無理じいすることなく進めていくことが大切です。

 

再発の場合も早期治療を
また、早期治療で治っていた受け口が成長と共に再発することがあります。

早期治療が理想の受け口ですが、下あごの成長を完全に予測できないのが現状で、中学生になってから、急激に予想を超える下あごの成長のために再発することもあります。

そのため一般的には、早期治療と、永久歯に生え変わってからの治療を組み合わせて行い、なおかつ身長の伸びが停止する頃まで経過観察します。再発があるからと言って受診せず、早期治療の時期をのがすと、下あごと上あごの大きさのアンバランスにより、下あごの骨を短くする手術の適応症になることもありますので、乳歯列期での専門医の受診をおすすめします。

(2013夏vol.45号掲載)

あるぷす小児歯科医院院長 和記 暢子先生

愛知学院大学歯学部卒業。同病院小児歯科勤務後、あるぷす小児歯科医院開業。日本小児歯科学会会員。