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編集部のライターたちが
富山での子育てに役立つ
【Baby Q&A】手をつなぐのをいやがる
発達、しつけ、睡眠…子育てをしていると悩みがつきませんよね。
乳幼児の子育ての悩みを専門家にお聞きしました。
このページは、はっぴーママ富山版に掲載している「ようこそ! こどものせかいへ」の過去に掲載した記事の中から抜粋してお届けします。
外出時、子どもが手をつなぐのをいやがって、好きなところに行ってしまうので、困っています。
どうすればよいのでしょう?
外出時に子どもと手をつなぐことは、子どもを危険から守る大切な行動であり、大人の責任でもあります。しかし、多くの子どもに、手をつなぐことをいやがる時期があるのも事実。「力づくで」や「抱っこで」というのは最終手段と考え、少しでもスムーズに手をつなぐ方法を検討してみましょう。
手をつながない理由①
子どもが手をつながない一番の理由は、“楽しみ”が制限されてしまうからです。好奇心旺盛な時期、自由に動けるようにもなって、「~したい!」気持ちにあふれている子ども。特に2歳前後には、小さなものや変化を目ざとく発見し、手にとって確認しようとします。魅力的な刺激がいっぱいの戸外で、大人のペースや関心に沿って歩くなんて、“つまらない”のでしょう。
とはいえ、この時期特有の衝動性や視野の狭さは、深刻な危険につながる可能性があります。手をつなぐことを納得させる一方で、安全な環境では、好きなように歩くことを保障してあげることで、バランスをとってあげましょう。
手をつながない理由②
手をつながない理由が、感覚の特性による場合もあります。例えば、手をつなぐ感覚を好まず、むしろ不快に感じる子がいます。また、手をつないで相手とペースを合わせることに、非常に大きなストレスを感じる子どももいます。このような場合は、子ども自身もかなり困っています。まずは周囲の大人が、その困り感を受けとめてあげる必要があるようです。
習慣化と意識づけ
手をつなぐ方法として、「意識させない」「意識させる」の2つがキーワードになります。「意識させない」方法の一つとしては、とにかく習慣化することです。抵抗感が少ない時期から、車が通る場所などで、そっと手を握ることを積み重ねます。すでに抵抗感のある場合には、「手をつなぐ」ことを楽しいと感じる工夫が必要です。歌やリズムに合わせて、ギュッと握ってみたり手の振り方を変えてみたり。手をつなぎながら、子どもの目線で話しかけてあげる(「ワンちゃん大きいね~」など)だけでも、「つながれている」という意識はなくなります。感覚が過敏な場合は、触れる部分を変えたり、物を介したりするとよいでしょう(危ない場合は、すぐに手をつかめます)。
一方、「意識づけ」も大切です。 多くの大人は「危ない」と繰り返し注意しますが、子どもには具体的なイメージがわかず、実感が持てないようです。子どもに伝わる言葉で「危ない=こわい」という感情と結びつけるようにしましょう。また、「あのお店の前まで」などの見通しを示したり、「このお歌の間」と限定的に手をつなぐことを意識づけたりすることも有効です。「お母さんを連れてって」など、子どもに頼む方法も聞いたことがあります。どうやら、子ども自身が「仕方ないなぁ」と納得すると、すんなり手をつなぐようです。
子どもの成長を待つ
実際には、子どもの抵抗が強く、無理に手をつかむ結果になるかもしれません。でも、子どもは次第に手をつなぐ意味を理解し、走り出したい欲求をコントロールできるようになります。辛抱強くそして優しく、子どもに働きかけていってほしいと思います。
(2015冬vol.55号掲載)
石動 瑞代先生
富山短期大学 幼児教育学科教授
富山短期大学付属みどり野幼稚園園長
お茶の水女子大学家政学部児童学科卒業。県立保育専門学院等の勤務を経て平成17年4月より富山短期大学幼児教育学科勤務。平成21年、日本大学大学院人間科学修士取得。
●専門分野 保育学
●担当授業 保育原理・乳児保育・家庭支援論