Topics
編集部のライターたちが
富山での子育てに役立つ
【kids Q&A】小学校入学前にやっておいたほうがよいこと
発達、しつけ、睡眠…子育てをしていると悩みがつきませんよね。
幼児の子育ての悩みを専門家にお聞きしました。
このページは、はっぴーママ富山版に掲載している「ようこそ! こどものせかいへ」の過去に掲載した記事の中から抜粋してお届けします。
年長児です。名前は書けるのですが、ほかに小学校入学前にマスターしておいたほうがよいことがあれば教えてください。
生活面の自立
小学校入学を控え、勉強面が気になるかとは思いますが、まず取り組むことは、生活面の自立だと思います。
文部科学省も「早寝早起き朝ごはん」運動を進めています。基本的な生活習慣の確立が、学習意欲や体力、気力のもとになります。よく動き、よく食べ、よく眠る健康的な生活を送る子どもほど学力が高いことが明らかになっています。
また、小学校では、時間を意識して活動することがより多く求められます。朝、遅刻しないで登校する、45分の授業で集中して取り組む、10分程度の休憩時間に着替える等です。折に触れて、「○時になったら始めましょう、△時までに終わるよう頑張ろう」等、時間を意識できるような言葉をかけるとよいでしょう。時計を見せて「長い針が□になったら~」などと伝えてもよいでしょう。
ほかには、挨拶、着替えや片付けなどの身辺の自立ができれば、まずは入学準備OKだと思います。
好奇心を育てる
大切なのは、小学校入学前に先取りしてたくさんの勉強ができることではありません。「知らないことを知るって楽しいな、学ぶって素敵だな」という気持ちを育てることです。小学校でも、「関心・意欲・態度」をとても大切にして評価しているのです。やらされて嫌々やるよりも、興味・関心をもって自分から取り組むほうが、より身につくというものです。
子どもが好奇心を持ったときが教えどきと言えるでしょう。好奇心を育てるためには、絵本の読み聞かせをしたり、町で看板を見て、子どもが「何て読むの?」と聞いてきたときに、丁寧に答えたりするとよいでしょう。
最近は、パソコンのキーボードを打ったり、スマートフォンやタブレットでタッチパネルに触れたりしている姿しか見せていないかもしれません。それだけではなく、実際に鉛筆で字を書いている姿を親が見せることも大切です。子どもは親をモデルにして真似をしながら学んでいきます。一緒にお手紙を書いても楽しいですね。
また、文字や数を扱う前に大切なのが、実際の体験です。例えば、「お菓子をみんなに2つずつ配ってね」等と頼むと、実際の場面に即して数を意識することになります。砂や泥で夢中になって遊んだり、草花で飾りや色水を作ったり、公園や地域の様々な施設に行ったりすることが、後々、生活科や理科、社会科につながる実体験になります。
親子のかかわりを大切に
実は、小学校入学までに、いろいろなことをマスターさせなくちゃとあせってしまうのが、一番よくありません。乳幼児期に最も大切なのは、自分が愛されているなと実感し、自己肯定感をもって前向きに生きていく力を育むことにほかなりません。これがあれば、これから様々な困難に出合っても乗り越えていくことができると思います。
そのためにも、親子のかかわりをできるだけ大切に過ごしていただければと思います。共に笑い、共に泣き、感情を共有するかけがえのない時間をつくるように心がけることで十分です。この体験がその子の人生の原体験(価値観や思想に大きな影響を与える経験)となって、生涯を支えていくでしょう。
(2015夏vol.53号掲載)
開 仁志先生
金沢星稜大学 人間科学部こども学科教授
小学校、幼稚園、富山短期大学、富山国際大学教員を経て現職。富山大学大学院教育学研究科修了、修士(教育学)。南砺市在住。
●専門分野 保育学(保育者養成)
●担当授業 保育者論、幼児教育実習