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【健康Q&A 小児歯科】もうすぐ小学校入学。注意をすることは?
妊娠、出産、子供の病気…その都度悩みがたくさん出てくると思います。そんな気になる悩みを各診療科の先生にお聞きしました。
このページは、はっぴーママ富山版に掲載している「健康相談室」の過去に掲載した記事の中から抜粋してお届けします。
もうすぐ小学校入学です。 この時期に注意をすることがあれば教えてください。
第一大臼歯の萌出について
歯の生える時期については個人差がありますが、おおむね小学校入学前後に第二乳臼歯(乳歯で一番奥に生えている歯)のさらに奥に大きな歯が生えてきます。この歯は第一大臼歯といって別名6歳臼歯と呼ばれています。この歯はヒトの歯の中で最も大きく、食べ物を砕いてつぶすために適した形をしており、大人になってからもかみ合わせの中心になるとても大切な歯です。
この歯が生える時は歯肉の中から少しずつ出てくるため、歯肉の一部が歯の上に覆いかぶさる状態となり、その結果、歯と歯肉の間にプラーク(歯垢)がつきやすく不潔になりやすくなります。そのために細菌により歯肉炎を起こし、時には痛みを感じたり少し腫れたりします。たいがい軽度で済みますが、症状がひどければ歯科医を受診ください。
また、このように不潔な状態が長く続くとむし歯になってしまうこともありますので、きちんとした歯みがきが大切です。この歯の歯みがきは、歯が一番奥で、しかも生えたばかりなので歯ブラシの入れ方(方向)、動かし方などに少し工夫が必要です。
前歯の生え換わりについて
前歯が乳歯から永久歯に生え換わるのもこの時期です。下の前歯はエスカレーター式交換といって、乳歯が抜けないうちにその内側に永久歯が生えてくることがよくあります。
その後、乳歯が脱落し、内側にある永久歯が前に移動します。このように独特な交換のために、また、よく目立つところなので気になって歯科医院に来院される方も多いようです。乳歯が抜けないうちに生えてきたということだけであわてて抜く必要はなく、自然に脱落するのを待てばよいのですが、歯がぐらぐらで食べづらい、話しづらいということであれば抜歯したほうがよいでしょう。
また、永久歯が生えてきたのに乳歯に動揺(ぐらぐら)がない場合は、乳歯の歯根の吸収があまり進んでいないことも考えられるので、歯科医に相談されたほうがよいでしょう。乳歯の内側にしかも斜めにねじれて生えてきたら歯並びが心配になります。顎の成長が著しい時期なので、いずれは自然に並んでいくこともありますが、顎が小さく歯の大きさとの関係で歯並びが悪くなることもありますので、気になったら歯医者さんにご相談ください。
むし歯になりやすい場所
むし歯は、年齢、歯の萌出状況によって罹患しやすい歯、場所が違うといわれています。この頃生える6歳臼歯は生えたばかりでむし歯になりやすいのですが、その他に4歳過ぎから小学校中学年までの間、最もむし歯になりやすいところがあります。それは、乳歯奥歯の歯と歯の間です。歯と歯の間は、歯ブラシだけでは十分にみがけませんから、デンタルフロスなどを使ってプラークを除去すればよいかと思います。しかしながら使い方は難しく、保護者の補助が必要となってきます。また、歯と歯の間のむし歯は最初の頃は気づかない(目で直接見えない)うちに進行してしまうので、歯医者さんでの定期チェックが大切です。
(2014春vol.48号掲載)
城川歯科医院院長 城川 和夫先生
1982年、日本大学歯学部大学院卒業(小児歯科学専攻)。その後富山市にて開業。日本小児歯科学会地方会理事、日本学校歯科医会理事を歴任、現在富山県歯科医師会副会長、富山県学校保健会副会長。