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富山での子育てに役立つ
【健康Q&A 心療内科】産後うつ
妊娠、出産、子供の病気…その都度悩みがたくさん出てくると思います。そんな気になる悩みを各診療科の先生にお聞きしました。
このページは、はっぴーママ富山版に掲載している「健康相談室」の過去に掲載した記事の中から抜粋してお届けします。
半年前に出産した妻が産後うつでは?と不安です。産後うつについて教えてください。
産後うつとは、一般的に出産から3カ月以内に発症し、数カ月~1年程度続くこともある、ココロの病気です。
産後1週間ほど、気持ちが滅入ったり不安定になる“マタニティブルー”とは違い、放っておくと重いうつ病になることもあります。
したがって、思い当たる症状がある方は心療内科や精神科を受診してください(チェックリスト参照)。
放っておくと症状がさらにひどくなったり、治りが遅くなることがあります。周囲の方もぜひ、注意深く様子をみてあげてください。
産後うつチェックリスト
□ 2週間以上、気分の落ち込みが続く。
□ これまで好きだったことや趣味にも興味がわかない。
□ 寝付きが悪い。夜中に何度も目がさめる。また、眠りが浅く熟眠感がない。
□ 特に午前中、体がだるくて仕方ない。夕方になると、少しラクになる。
□ ささいなことにもイライラする。
□ わけもなく涙が出たり、周囲から笑顔の少なさを指摘される。
□ 何事に対しても集中できない。
□ 冷静に、順序だてて物事を考える力が弱くなった。または、“何も考えたくない感じ”がする。
□ 食欲がわかない。無理に食べてみても、美味しいと感じられない。
□ なにかあるとすぐ、“自分のせいでこうなったんだ・・・”と自分を責める。
□ 自分は母親失格だと思う。
□ 子どもを産まなければよかった、と思ってしまう。
□ ふいに、死にたい気持ちにおそわれる。
□ 妊娠・出産前と比べて、身なりに気を使わなくなった(化粧、入浴、着替えなどが面倒くさい)。
□ 子どもを“かわいい”と思えない。愛情がわいてこない。
5個以上当てはまる方…産後うつになっている可能性あり。
10個以上当てはまる方…重い産後うつのおそれがあるので、早めに心療内科や精神科に相談を。
産後うつの予防法
次のようなことが産後うつの 予防につながります。
●誰かに頼る(お互いの親、親戚、公共サービス、育児サークルなど)。
●いつでも100パーセントの育児を目指さない、求めない(家族そろって今日一日無事に過ごせたら、それで十分)。
●人と会話する。話を聞いてもらう(自分の育児の仕方が、そんなに大きく間違ってないことに気付けるはず)。
●ときどき、“ママ”でいることを忘れてリフレッシュする。
パパ(男性)に気をつけてほしいこと
“出産”というライフイベントは、男性(パパ)にとっても大きな環境の変化であり、心身の不調につながることがあります。
その原因として、❶「父親になる」ことへのとまどい、こころの準備不足、❷「妻子を養わなければならない」という気負い、❸「育児協力しなければ」というプレッシャーなどがあげられます。
母親同様、最初から理想的で完璧な父親はいません。奥さんや他の家族とも話し合いながら、あせらずに育児に取り組みましょう。
パパ(男性)にお願いしたいこと
❶赤ちゃんばかりを主役にしない…
妻への感謝やねぎらいの言葉を忘れずに。また、当たり前のことですが、励ましは逆効果。
❷きちんと話を聞いてあげる…
ただの愚痴であっても、できるだけの“共感”を示すことが大切。
❸夫婦二人だけだった時と同じことは求めない…
ホルモンなどの影響で女性は“オンナ”モードからすっかり“母親”モードになる時期があることを理解してください。
(2015冬vol.55号掲載)
みさきクリニック院長 三崎 信子先生
平成元年3月、川崎医科大学卒業。富山医科薬科大学(現・富山大学)精神神経科、新潟大学精神科などを経て、平成12年、みさきクリニック開業。富山県精神保健指定医。