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編集部のライターたちが
富山での子育てに役立つ
【kids Q&A】短気な夫に困っています…
発達、しつけ、睡眠…子育てをしていると悩みがつきませんよね。
幼児の子育ての悩みを専門家にお聞きしました。
このページは、はっぴーママ富山版に掲載している「ようこそ! こどものせかいへ」の過去に掲載した記事の中から抜粋してお届けします。
夫が短気で私にも子どもにもすぐ怒ります。言葉も乱暴で、子どもにも悪影響を与えそうで心配です。言っても逆切れされてしまいます。どうすればよいでしょう。
お母さんにも子どもにもすぐに怒ってしまうとのことです。昨今、ドメスティック・バイオレンスや児童虐待がとても問題になっていることから、相談できるような方とつながり一人で抱え込まないこと、深刻な場合は、すぐにお近くの相談窓口にご相談していただきたいことを前置きしつつお話させていただきます。
お父さんの生まれ育った環境は?
短気で怒りやすく言葉が乱暴なのは、性格もあると思いますが、お父さんが亭主関白な家で育ったなど環境の影響で、悪いことと思っていないかもしれません。ですから、指摘されると、自分の育ってきた家庭や価値観を否定されている気がするのかもしれません。お母さんが子どものために意見をすると、お父さんの味方をしてくれる人がいなく孤立してしまうことから、一層いらいらがつのるのでしょう。
お父さんとの接し方
できれば、興奮して怒っている時に反論するより、あいづちを打つ、言葉を繰り返して確かめるなど、話に耳を傾けていただくと、徐々に怒りもおさまってくると思います。相手が話を聞いてわかろうとしてくれていると思うと、大きな声を出さなくてもよくなってきます。さらに、「ありがとう、助かるわ」など、お父さんへの感謝の言葉を普段から伝えていると、雰囲気もよくなってきます。また、「そんなに怒らないで」「乱暴な言葉を使わないで」といった「~しない」という否定の言葉よりも、「もう少し落ち着いてゆっくり話して」など具体的にやってほしいことを伝えた方が、角が立たず受け入れやすいようです。
子どもへの伝え方
子どもにとっては、お父さんの言っている内容よりも、お父さんが怒っているということ自体でとても不安になると思います。理由がわからないと「怒られた」という嫌な感情のみが残ります。そこで、さらに、お母さんも「お父さんは怒りっぽい、嫌な性格」などと子どもの前で言うと、子どももお父さんを嫌いになっていきます。
そんな時、なぜ、お父さんは怒っているのか、その理由をお子さんにもわかるように伝えること(翻訳すること)で、お子さんに少し安心感が生まれます。お父さんは「あなた(お子さん)のことを嫌いではない」こと、「悪いところを直してほしいから叱っている」ことなどです。「自分はダメな子」と思い、お子さんの自己肯定感が低くならないように、「お父さんは、本当は愛してくれていること」が伝わるとよいと思います。
言葉の問題
乳幼児期にどのような言語環境に包まれていたかはとても重要になります。ですが、お父さんが乱暴な言葉を使うことだけで、すべてが決まるわけではありません。お母さんがその分、温かな言葉をお子さんにかけていただくこと、なによりお子さんの言葉に耳を傾けるように心がけていただくとよいと思います。また、お子さんにとっては、お父さんとお母さんが言い争いをしている姿を見ることが一番辛いことかと思います。夫婦間で本音で語り合うことはとても大切ですが、お子さんのことで目の前で言い争いをすることはなるべく避けるなど、お父さんと約束されてもよいかと思います。
(2014春vol.48号掲載)
開 仁志先生
金沢星稜大学 人間科学部こども学科教授
小学校、幼稚園、富山短期大学、富山国際大学教員を経て現職。富山大学大学院教育学研究科修了、修士(教育学)。南砺市在住。
●専門分野 保育学(保育者養成)
●担当授業 保育者論、幼児教育実習