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編集部のライターたちが書き下ろした
富山での子育てに役立つ情報をまとめています

育児
2021.01.25

【Baby Q&A】祖父母が甘やかすので困る

発達、しつけ、睡眠…子育てをしていると悩みがつきませんよね。
乳幼児の子育ての悩みを専門家にお聞きしました。
このページは、はっぴーママ富山版に掲載している「ようこそ! こどものせかいへ」の過去に掲載した記事の中から抜粋してお届けします。

悩み ● 2歳児のママより
第2子の妊娠で祖父母に子どもを預ける機会がふえたのですが、
祖父母がお菓子やおもちゃを与えすぎるので困っています。

 

大切にしたい“育児方針”
心身ともに健やかに育ってほしい。そう願って、日々細やかな配慮のもとに子育てをしていらっしゃるのだと思います。親としてせっかく大切にしてきた一定のルールが、ほかの人に預けると崩れてしまう。その不安やいらだちは多くの親が同様に感じていることかもしれません。
特に祖父母による甘いお菓子やおもちゃの与えすぎなどは、「孫が可愛いとはいえ無責任な!」と内心やきもきする親も多いとか。もちろん祖父母による子育ても様々ですから、親が子どもの要求を受容しようと努めている一方で、祖父母が大変厳しい場合もあります。いっそ他人に預けたほうが、自分の育児方針を主張できるのにという声も聞こえてきます。
このような葛藤は、子育ては自分の思うままにはらないこと、相手に委(ゆだ)ねる部分があってこそ支援の手が差し伸べられることを知る機会でもあります。どこまで相手に譲れるのか、どうやって自分の“育児方針”の大切さを相手に理解してもらうのかなど、親としてのコミュニケーション術を鍛えていく必要がありそうです。

育ちへの影響
何よりも気になるのは育ちへの影響ですね。大きく2つに分けて考えてみましょう。
まずは「甘いもの⇒虫歯になる」という健康面への影響について。悪い影響があるのはわかっているけれど、どこまでの量や頻度であれば影響が出るのかははっきりしません。また同じ量でも、影響の出方には個人差があります。祖父母が経験的に語る「これくらい大丈夫!」にも一理あるのです。それでも、よりよい育ちを願う親とすれば、悪い影響が出ないための対応策を考えたいもの。祖父母には、「与えない」という全否定ではなく、1つの条件を加えてもらいましょう。例えば、おやつの種類を限定する・お水を必ず飲むなど。わずかなことでもお願いすることで、少しずつ歩み寄っていけると思います。一方で、親子の時間には丁寧な歯磨きやフッ素塗布などを行うことで、影響の受けにくいからだづくりをめざしましょう。
もう1つは「与えすぎ・我慢させない⇒わがまま」という性格面への影響について。こちらは健康面よりも複雑で、様々な要因が絡んできます。祖父母の甘さが、子どもにとって“ほっとできる場”となり、よりよい影響をもたらすこともあります。祖父母の思いを大切にし、必要なしつけは親子の時間で行えばいいと考えましょう。もちろん、先ほどと同様、条件プラスをお願いする(例えば、買い与えるけれども、個数を減らしたり、待つ時間を設けたりすることで、ちょこっと我慢を経験する)ことは有効です。

心豊かに育つには
わが子が幼い時は、多くの葛藤を抱いた私も、中学生になる息子を見ると、私だけの思いで育てなくてよかったとしみじみ感じます。多くの人に愛されることで、私のネガティブな部分も跳ね返して育っていると思うからです。
幼い子どもは、親に関心を示し、親の行動や意図をなぞることによって、自分の行動や感情を育てていきます。親が周囲の人のよいところに目を向ければ、子どももそこに注目し自分に取り入れようとします。心豊かな子どもに育てたいという願いは、親自身が心豊かに周囲の人を見つめ、関わることが条件となるのかもしれません。

(2015夏vol.53号掲載)

石動 瑞代先生

富山短期大学 幼児教育学科教授
富山短期大学付属みどり野幼稚園園長
お茶の水女子大学家政学部児童学科卒業。県立保育専門学院等の勤務を経て平成17年4月より富山短期大学幼児教育学科勤務。
平成21年、日本大学大学院人間科学修士取得。
●専門分野 保育学
●担当授業 保育原理・乳児保育・家庭支援論