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編集部のライターたちが
富山での子育てに役立つ
【Baby Q&A】危ないことをやめさせたい
発達、しつけ、睡眠…子育てをしていると悩みがつきませんよね。
乳幼児の子育ての悩みを専門家にお聞きしました。
このページは、はっぴーママ富山版に掲載している「ようこそ! こどものせかいへ」の過去に掲載した記事の中から抜粋してお届けします。
机やいすにすぐに登ろうとする息子。危ないのでやめさせたいのですが、どうすればよいでしょうか。
のぼりたい!
1歳後半~2歳頃のお子さんによく見られる姿ですね。足腰がしっかりしてくることで、しゃがむ・立つなどの姿勢バランスや速さの調整が可能となり、周囲の環境に挑みたい気持ちが高まるようです。斜面の登り降りをしたり、わざと縁石を歩こうとしたり、またぐことを繰り返したり…。普通に歩くだけでは物足りず、よりプレッシャーのある環境を求めるなんて、子どもって伸びるエネルギーに満ちていますよね。
少し高い台があれば、登ってみたい!それを達成することが、身体的にも感覚的にも気持ちがよいのだと思います。
安全としつけ
周囲の大人にとっては、子どもの気持ちが理解できても、やはり安全面が心配です。頭が大きく、バランス感覚も十分ではないため、転落するリスクが高いからです。加えて、机に登る行動は行儀が悪いので、しっかり言い聞かせなければという思いにもなるようです。“何とかやめさせたい大人”と“楽しさを追求する子ども”との思いは平行線。すぐに聞き入れてはくれない姿に、困惑することも多いかと思います。
やめさせることの前に
机などに登ることをやめさせる方法を考える前に、もう一度子どもの気持ちを見つめてみましょう。身近な大人の言うことは概ね理解できるし、社会的なルールもわかり始める時期です。もちろん、何回か実際の場面を通して教えないと理解できませんから、丁寧に教えていくことが大切です。それでも守れないのは、「ダメなこと」を忘れたり、わかっていても感情が先行したりするからです。また、どの程度ダメなのかがわからず、探っているのかもしれません。
いずれにしても、子どもが落ち着いて状況判断するためには、心の安定が必要です。子どもの欲求を満たすことを優先してみませんか。身体を動かしてよじ登る動きを、安全な環境(大人の見守り+ソフトマット等)で遊具などを利用しながら経験できるようにしましょう。
解決法をさぐる
満足感を与える一方で、「机やいすに登らない」ことのしつけも大切です。「繰り返し言って聞かせる」とよく言われますが、言い方やタイミング、表情等がとても重要だと思います。
まず、登ってはいけない理由をわかりやすく伝えること。真剣な表情で、どんな危険があるのか、なぜ机は登ってはいけないのかを、身振りや人形などを使って示してあげましょう。もちろん、すぐに忘れて登ります。そんな時は(危険度にもよりますが)いきなり叱るのではなく、「○○ちゃん」といって自分で気づかせる「間」を準備しましょう(2歳頃には罪悪感の感情も育ち始めます)。また、ダメというだけでなく「降りようか」などと、具体的行動を教えてあげると伝わりやすくなります。
叱られると、わざとふざけて登る子もいます。「ダメ、ダメ」とだらだら叱るのではなく、子どもの様子を見ながら、タイミングをみてしっかり叱るとよいでしょう。
同じ場面での解決法も、子どもの性格や日頃の親との関係性によって異なってきます。叱り方の強弱や伝え方など、子どもの反応を確かめながら、効果的な方法を探っていくことが大切です。
(2015春vol.52号掲載)
石動 瑞代先生
富山短期大学 幼児教育学科教授
富山短期大学付属みどり野幼稚園園長
お茶の水女子大学家政学部児童学科卒業。県立保育専門学院等の勤務を経て平成17年4月より富山短期大学幼児教育学科勤務。
平成21年、日本大学大学院人間科学修士取得。
●専門分野 保育学
●担当授業 保育原理・乳児保育・家庭支援論