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編集部のライターたちが書き下ろした
富山での子育てに役立つ情報をまとめています

ヘルスケア
2021.11.16

【健康Q&A 産婦人科】産後の月経再開

妊娠、出産、子供の病気…その都度悩みがたくさん出てくると思います。そんな気になる悩みを産婦人科・小児科・小児歯科の各先生方にお聞きしました。
このページは、はっぴーママ富山版に掲載している「健康相談室」の過去に掲載した記事の中から抜粋してお届けします。

 

ご相談内容
産後の月経が始まる時期や産前と違う場合など、産後の月経について詳しく教えてください。

 

産後はどうして月経が止まるの?
女性の体は、産後しばらくの間は月経が来ないようにつくられています。これは、産後に脳にある下垂体という場所から分泌される「プロラクチン」と呼ばれるホルモンが関係しています。
プロラクチンは乳汁分泌ホルモンとしての作用がある一方で、卵巣の機能を抑制し、排卵を止める作用があります。産後に赤ちゃんが母乳を飲めば飲むほど吸啜刺激が加わってプロラクチンが分泌されます。それに伴って、排卵が起きず、したがって月経も止まるのです。

 

産後月経が再開する時期は? 授乳との関係は?
産後の月経再開時期には個人差があります。一般的には産後4カ月以内に再開する人が多いとされています。ただ、前述のとおり、授乳中は月経再開も遅くなります。母乳育児の場合は、早くても分娩後3~4カ月は月経が来ませんが、ミルク育児の場合には分娩後約2カ月で月経再開するようです。ただ、授乳を続けている間月経が再開しない場合もあり、授乳中、月経が来なくてもあまり心配しなくていいです。
また、月経が来ない原因として、プロラクチンだけではなく、ストレスの場合もあります。特に産後は育児によるストレスや疲労、不規則な生活からホルモンバランスが崩れやすいのです。産後3~4カ月頃に月経が再開しても、その次に来たのが数カ月後など、周期が乱れてしまうこともあります。子育て中は少しでもリラックスできる時間を作り、疲れやストレスをためない毎日を過ごせるといいですね。
産後1年半を過ぎた、もしくは断乳後3カ月以上経つのに月経が再開しない場合は、「高プロラクチン血症」と呼ばれる疾患で、排卵障害を起こしている可能性もあります。脳下垂体に腫瘍ができたり、甲状腺の機能が低下したりといった可能性が考えられます。また、内服している薬の影響もあるかもしれません。月経再開が遅れていると感じたら一度かかりつけの産婦人科か婦人科を受診した方がいいかもしれません。

 

産後、初めての月経が出産前の月経と量や痛みが違うのは何かの病気?
初潮の時を思い出してみましょう。出血量が多い人もいれば、少ない人もいて個人差が大きいものです。多いから、あるいは少ないからといって異常なわけではありません。産後の経血量も同じです。生理痛の程度が変わる人もいます。これは妊娠・出産を機に子宮内の環境が変化したことが原因です。中には子宮内膜症などの疾患が自然に治ってしまうこともあります。
月経と月経の中間くらいの時期に2~3日の出血がある場合は、排卵出血の可能性が高いので、過度に心配する必要はありません。出血がだらだらと長く続く場合は不正出血の可能性もあるので、出血の量や色、生理痛の重さがいつもと違うと感じた場合には、かかりつけの産婦人科を受診しましょう。

 

月経が再開するまでは避妊しなくても妊娠しない?
産後の月経再開は、次の妊娠準備ができたという体のサインです。ただし、月経が再開する前に排卵することもあるので、場合によってはまだ月経が再開していないと思っていたら次の妊娠をしていた、ということもあります。まだ次の妊娠を考慮していない場合は、月経再開前でも避妊を心がけてください。次の妊娠はいつ頃がいいか、あらかじめご夫婦でちゃんと計画しましょう。

(2018年春vol.64号掲載)

吉本レディースクリニック院長 吉本 裕子先生

平成8年、高知医科大学(現・高知大学医学部)卒業後、金沢大学に入局。平成9年より富山市民病院に勤務。平成14年より同病院にて富山県初の女性外来を開設する。平成17年4月より富山市羽根にて吉本レディースクリニックを開業。日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、富山県警女性被害者支援ネットワーク医師。