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【健康Q&A 産婦人科】妊娠が可能な年齢
妊娠、出産、子供の病気…その都度悩みがたくさん出てくると思います。そんな気になる悩みを産婦人科・小児科・小児歯科の各先生方にお聞きしました。
このページは、はっぴーママ富山版に掲載している「健康相談室」の過去に掲載した記事の中から抜粋してお届けします。
35歳の主婦です。子どもが欲しいのですがなかなか妊娠しません。何歳ぐらいまでなら妊娠が可能ですか。
妊娠のしやすさというのは非常に個人差のあることです。特に異常がなくても、なかなか妊娠しない方もいらっしゃいます。また、パートナーに原因がある場合もあります。
不妊症とは?
生殖年齢の男女が妊娠を希望し、1年間性生活を行っているにも関わらず、妊娠しない場合を不妊症と言います。しかし、年齢とともに、不妊治療を行っても妊娠に至る可能性が低くなることや、治療に要する時間が長くなることから、30代後半の方は約半年、40代の方は3カ月ぐらいを目安に、なかなか妊娠しない場合は検査を受けられることをおすすめします。
不妊症になりやすい病気
●月経不順
稀発月経:月経周期が39日以上あく長い周期を稀発月経と言います。稀発月経でも排卵があれば妊娠は可能ですが、無排卵周期になっている可能性もあります。2~3カ月基礎体温をつけてみて、排卵していないようであれば早めに婦人科を受診してください。
頻発月経:月経周期が24日以下の短いサイクルになることを言います。もともと月経周期が短い方もいらっしゃいますが、以前に比べてどんどん短くなってきているという場合は、排卵日から月経開始までの期間が短くなる黄体機能不全や、卵巣の予備機能の低下(卵巣の中に残っている卵子の数が少なくなっている)の可能性があります。
●子宮内膜症
子宮内膜の組織が子宮内腔以外の場所に生着し、出血や炎症を繰り返す病気です。卵巣の中に血液がたまって血腫(けっしゅ)になったものをチョコレート嚢腫(のうしゅ)、子宮筋層内に出来たものを子宮腺筋症と言います。子宮や卵巣の周りにも炎症や癒着が起こり、月経痛や月経時以外の腹痛、性交痛などの症状があり、不妊症の原因になります。
●子宮筋腫
子宮筋腫は子宮にできる良性のこぶなので、すぐに治療をしないと命に関わるというものではありません。しかし、非常に経血量が多く、健康診断などで貧血を指摘されるという場合は婦人科を受診してください。特に、子宮内腔を変形させるような粘膜下筋腫や筋層内筋腫の場合は妊娠しにくい可能性があります。
子宮内膜症や子宮筋腫は30代から40代の女性に多い病気ですので、30代、40代で妊娠を希望する場合は、このような病気がないかチェックしておくことも大切です。
男性の年齢
女性の年齢による、妊孕性(にんようせい)の低下については、様々なところで取り上げられておりますので、今回は男性の年齢による妊孕性の低下について触れたいと思います。
図は、男性が20代までは、約6カ月でパートナーが妊娠しますが、30代から40代前半だと約10カ月、40代後半だと約1年半、50歳以上だと2年以上かかることを示しています。男性の年齢が高くなると、パートナーの年齢も高くなる傾向はありますが、そのことを補正しても、男性が高齢になると、パートナーが妊娠するまでにかかる期間が長くなるとされています。
何歳まで妊娠ができるかということは、非常に個人差があります。ですから、不妊症かも、と思われたときにはなるべく早めに専門医を受診されることをおすすめします。
(2017年秋vol.62号掲載)
女性クリニックWe! TOYAMA院長 若杉 聡美先生
1996年富山医科薬科大学(現・富山大学)医学部卒業後、産科婦人科学教室に入局。
2003年自治医科大学生殖医学センターにて研修。
富山大学産科婦人科助教を経て、2008年より女性クリニックWe! TOYAMA。2019年より現職。
医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会会員。