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【健康Q&A 小児歯科】ミノマイシンと変色歯
妊娠、出産、子供の病気…その都度悩みがたくさん出てくると思います。そんな気になる悩みを産婦人科・小児科・小児歯科の各先生方にお聞きしました。
このページは、はっぴーママ富山版に掲載している「健康相談室」の過去に掲載した記事の中から抜粋してお届けします。
とびひで2歳児にミノマイシンを処方されました。永久歯が変色歯になると知り心配です。変色の可能性、治療法を教えてください。
テトラサイクリン系抗生物質が原因
ミノマイシンはテトラサイクリン系の抗生物質で、服用により変色歯ができることがあります。
以前は、広範囲の細菌に効くことから、風邪薬のシロップ、肺炎等によく使われていましたが、歯の形成期(妊娠4カ月前後から生後9歳位の間)に投与されますと、歯や骨に色素沈着が起き、生えたときに着色が変色歯として見られることがわかってきました。
授乳でも影響する場合あり
妊娠中は母親が、出産後は本人が服用すると変色歯ができる場合がありますが、授乳中も影響を受けることがあります。発生頻度は明確ではありませんが、3カ月間服用した場合には、約半数に発生するといわれています。数日の服用で発生したという報告もあり、個人の感受性により決定されるといわれます。
変色の程度はそれぞれ
テトラサイクリン系抗生物質には二十種類以上あり、種類によって変色の色が違っておりその程度は、使用量、期間によって、帯状になったり、歯全体になったりして、歯が生えた後も紫外線の影響で色が濃くなることがあります。
以前テトラサイクリン系の薬を子どもに飲ませたら、すぐに歯が黄色く変色したが、乳歯はこの後もっと変色するのか、永久歯は大丈夫なのか、という質問がありました。テトラサイクリンによる変色は歯の形成中に起きるものなので、この方の場合は全く当てはまらず、黄色い顆粒のミノマイシンの服用により、歯面に付着していたプラークが黄色くなったと思われます。しっかりブラッシングをする、または、歯科医院で歯面清掃をしてもらえば、きれいになります。
変色歯の処置の方法
ご質問の方の歯の変色の程度は、生えるまでわからないのでご心配かと思いますが、変色歯の処置の方法はいろいろありますので、紹介いたします。
❶ホワイトニング
❷歯のマニキュア
❸ラミネートベニア
❹クラウン(白い材料で全体をかぶせる)
などでこれらはいずれも永久歯に対する処置方法です。
ホワイトニングとは、薬剤を使って、歯の表面を白くすることで、多様な薬剤が使用されていますが、変色が強い場合は、希望される結果が得られにくい方法です。
歯のマニキュアも文字どおり歯の表面に変色をカバーする塗料を塗りますが、色ムラができたり、効果はあまり期待できません。
ラミネートベニアは、変色した唇側のエナメル質をわずかに削って付け爪のように作られたシェルを接着する方法で、現在最も有効な治療法だと思います。
以上の方法では、希望する色にならない場合は、全体を削って白い材料でかぶせるクラウン(冠)の形による治療法になります。
いずれにしても、現在では、テトラサイクリン系の抗生物質の投与は8歳未満の小児には原則禁止されていて、他剤が無効な場合のみ使用されていますので、変色歯はあまり見かけなくなっています。
(2017夏vol.61号掲載)
あるぷす小児歯科医院院長 和記 暢子先生
愛知学院大学歯学部卒業。
同病院小児歯科勤務後、あるぷす小児歯科医院開業。
日本小児歯科学会会員。