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【第1回】富山で活躍中! 起業パパの「パパ1年生、今日も空回り中。」

この連載では毎月、富山で活躍中の「起業パパ」による、笑いあり、反省ありの育児奮闘記をお届けします。 仕事のスキルが1ミリも役に立たない育児のリアルと、そこから見えてきた大切な気づきを等身大に綴っていただきました。

第1回となる今回は、彼がパパになった日のことや、子育てが始まった当時の心境を振り返ります。
読み終えたあとに「うちのパパも、どこかで同じように空回りしながら頑張っていたのかもしれないな」と、ほんの少しだけパパたちの奮闘に寄り添うきっかけになれば……。編集部ではそんな願いを込めて、この連載をスタートします。

シテン株式会社 代表取締役/
一般社団法人とやまのめ 代表理事 中谷 幸葉(なかや こうよう)

1992年茨城県生まれ。

2019年に富山県へ移住。まちづくり会社「株式会社TOYAMATO」の立ち上げに参画し、取締役として地域活性化事業や飲食事業の企画・運営に従事。

古民家を引き継いだことをきっかけに、2023年には地域課題の解決と人材育成を目的とした「一般社団法人とやまのめ」を設立。地域内外の多様な人材を巻き込みながら、社会課題解決型のプロジェクトを推進している。

2024年には県内唯一のスプラウト農家を継承し、農業と地域づくりを掛け合わせた活動を展開している。

パパになった日、僕は何もできなかった

僕がパパになった日。 あの日のことは、忘れもしません。

なぜなら、これまで生きてきた中で、 一番男としての無力さを痛感した日だったからです。 夜22時、病院に呼び出されてから出産までの時間。

僕は、本当に何もできませんでした。 ドラマやSNSで見るような、 手を握って「頑張れ」と声をかけるシーンをイメージしていた僕は、 その現実とのギャップに衝撃を受けました。

あのイメージ、ちょっと罪ですよね(笑)
自然分娩を選んだ奥さんは、 痛みに耐えながら全身で踏ん張り、 時には両手を振り乱すほど必死に闘っていました。
声をかけても、近くに行っても、 何をしても気に障る。怒号が飛ぶ。
看護師さんにも強い言葉をぶつける姿を見て、 「ああ、本当に命がけで闘っているんだ」と実感しました。

そして僕は、 ただそこに“いること”しかできませんでした。

「生まれましたよ」。
その一言とともに、赤ちゃんが持ち上げられる。

「おめでとうございます」。と声をかけられ、 目の前に連れてこられた小さな命。
もちろん嬉しかった。 でもそれ以上に強く心に残っているのは、 長時間の痛みと闘い抜いた奥さんが、 この瞬間に見せた“笑顔”でした。

「ああ、感動ってこういうことを言うんだな」と思いました。 でも振り返ると、 そう思っている時点で、まだどこか他人事だったのかもしれません。

父親は“実感より先に始まる”

数日後、 「お父さん、沐浴させてみましょう」 そう言われて、赤ちゃんを前にした僕は、 完全に固まりました。

どう持てばいいのか分からない。 どこまで力を入れていいのかも分からない。 何から始めればいいのかも分からない。

「すいません、何からしたらいいですか」 。
思わず出たその一言に、 奥さんは少しあきれたように言いました。
「だから勉強してって言ったじゃん」。

実は出産前から、 僕は何度も「自覚がない」と言われていました。でもそのときの僕は、 正直その意味がよく分かっていなかった。

その言葉の重さを理解できたのは、 もう少し後になってからでした。
奥さんは、もう“ママ”になっている。 一方で僕は、抱いているだけで精一杯。 ふとスマホを見ると、 仕事の連絡が入っている。

いつもと変わらない日常。 「仕事、たまってるよね? ありがとう、戻っていいよ!」

そう言われて、我に返り、仕事に戻りました。

パパになったのに、他人事だった

その帰り道、ようやく気づきました。

「ああ、僕は何の準備もせずに、パパになってしまったんだ」。
焦りが、一気に押し寄せてきました。

振り返ると、出産までの数か月間。 僕は奥さんと遠距離で過ごしていました。
どれだけ大変なのか、どれだけ不安なのか。 近くで分かち合うことができなかった。

奥さんは東京で一人、 仕事も続けながら、少しずつ“ママ”になっていった。 一方の僕は、仕事を理由にどこかで甘えていました。

「まだ時間はある」「仕事だからしょうがない」
そうやって、自分を納得させていた。そして出産予定日の直前、 僕は東京出張の予定を入れていました。

もちろん仕事は大切です。でも今思えば、それに見合うだけの配慮や向き合い方が、 僕には足りていなかったのだと思います。

そうした積み重ねが、 “準備不足のまま父親になる僕”をつくっていたのかもしれません。
もちろん、最初から完璧に父親になれる人なんていません。
でもだからこそ、 一番大変な思いをしている奥さんに、 少しでも寄り添える準備はできたはずでした。

最後に

そして今、少しだけ分かることがあります。 父親になるって、 「なった瞬間に完成するものじゃない」。

たぶん、 少しずつ、後から追いついていくものなんだと思います。
あの日の“他人事みたいな僕”も、 ちゃんとスタートラインには立っていました。
父親は、実感より先に始まる。 これからパパになる皆さん。 準備、とっても大事ですよ。
どんなに準備しても、きっとママには敵いませんが……(笑)