子育て 0〜2歳 3〜6歳 小学1〜3年 小学4〜6年

第5回|富山で活躍中! 起業パパの「パパ1年生、今日も空回り中。」

この連載では毎月、富山で活躍中の「起業パパ」による、笑いあり、反省ありの育児奮闘記をお届けします。 仕事のスキルが1ミリも役に立たない育児のリアルと、そこから見えてきた大切な気づきを等身大に綴っていただきました。

この連載も今回が最終回。テーマは「夫婦で初めて”対等”に話せた夜」です。
振り返ると、仕事を言い訳にしていたり、育児の大変さを分かったつもりになっていたり、一人で勝手に赤ちゃんと対峙して右往左往し、結果的に奥さんの仕事を増やしてしまったり、本当に空回りばかり。
でも、その中で、当たり前だと思っていた毎日は、全く当たり前ではないということに気づき、感謝を忘れず、少しずつ家族になっていこうとする話です。

シテン株式会社 代表取締役/一般社団法人とやまのめ 代表理事 中谷 幸葉(なかや こうよう)

1992年茨城県生まれ。

2019年に富山県へ移住。まちづくり会社「株式会社TOYAMATO」の立ち上げに参画し、取締役として地域活性化事業や飲食事業の企画・運営に従事。

古民家を引き継いだことをきっかけに、2023年には地域課題の解決と人材育成を目的とした「一般社団法人とやまのめ」を設立。地域内外の多様な人材を巻き込みながら、社会課題解決型のプロジェクトを推進している。

2024年には県内唯一のスプラウト農家を継承し、農業と地域づくりを掛け合わせた活動を展開している。

空回りの中で気づいた「当たり前じゃない毎日」

前回は、奥さんと久しぶりに2人きりで過ごした話を書きました。子どもを預けて数時間だけ夫婦の時間を過ごしたあの日、改めて思ったのです。

毎日子どもが元気に過ごしていること、家が回っていること、ご飯が出てくること、洗濯物が片付いていることは、全部誰かがやってくれているから成り立っている。そして、その多くを奥さんが担ってくれている。そのとき初めて、自分がどれだけ支えられているのかに気づきました。

そんな流れでの今回のテーマは「夫婦で初めて”対等”に話せた夜」です……と書いておいて何ですが、正直に言うと、そんな日はまだ来ていません(笑)。
これからも対等だとは言えないかもしれません(笑)。

今でも育児や家事の中心は奥さんですし、僕は頭が上がらないことばかりです。この数カ月間で奥さんにかけてしまった負担や苦労は、きっとこれからも忘れないと思います。

でも、初めて本音で向き合えた夜はありました。

ゆで卵のお湯から始まった「冷戦」と本音の対話

子どもが生まれてから、我が家にも少しずつ役割分担ができてきました。皆さんのご家庭はどうでしょうか。
我が家の場合、僕は洗濯とゴミ出し担当です。少ないですね(笑)。ただ、洗濯にもルールがあります。畳み方もあります。干し方もあります。僕は正直に言うと、「畳めればいいじゃん」と思うタイプです。でも奥さんは違います。先を見据えて、「こう畳んでおけば後が楽になる」というところまで考えています。

最近になってようやく気づきました。「言ってくれればやったよ」「いや、それくらい分かってよ」。そんな小さなすれ違いが、大きなことへと発展します。

だから、基本的には奥さんのルールに従っておけば間違いはないのです。
それぞれの担当が決まったことで、なんとなく家庭は回っていました。

でも、ある日、その境界線を越える出来事が起きます。
大きな事件というのは、大抵、小さな出来事から始まります。そのときもそうでした。きっかけは、なんと、ゆで卵を作るためのお湯。
詳細は割愛しますが、本当にそれだけです。「え、それだけ?」と思うかもしれません。僕もそう思います(笑)。

でも、夫婦喧嘩は実は目の前の出来事が原因ではないことが多いですよね。その瞬間に爆発しただけで、本当はそれまで積み重ねられた小さなモヤモヤが原因だったりする。僕は僕で、「そんな言い方しなくても」と思っていました。奥さんは奥さんで、「なんで分かってくれないの」と思っていたはずです。

お互いに正しいと思っている。だから引けない。謝れない。その結果、数日間の冷戦状態が始まりました。

夫婦に必要なのは「価値観の一致」ではなく「対話」

会話は最低限、業務連絡のみ。「明日はごみの日だよ」「今日は洗濯機を回さないでね」。そんな言葉だけが飛び交う数日。同じ家にいるのに、なんだか遠い。
そしてある夜、ようやく話し合いました。その中で話したのは、どちらが正しいかではありませんでした。
改めて、それぞれの役割は何なのか。気持ちではなく、現実的に。効率の観点から。
どこまでなら許容できるのか。価値観の折り合いとして。
何をされたら嫌なのか。ちょっとした言動や行動について。
どんな言葉を言われると傷つくのか。思いやりの観点から。
どうしてほしいのか。折衷案も含めて。

そして気づいたのです。お互いが、相手のことを思ってやっている。でも、「思っている」と「伝わる」は別なのですよね。

僕は、自分なりに気を遣って察しているつもりでした。でも、奥さんからすると全然足りなかった。奥さんは、僕に伝えているつもりでした。でも、僕には伝わっていなかった。

悪気はない。でも傷つく。責めるつもりはない。でも責められたように聞こえる。
夫婦とは不思議です。一番近い存在なのに、意外と分かり合えていない。だから話をしないと伝わらない。

その日、初めて分かったことがあります。夫婦は、価値観が同じだからうまくいくわけではない。違う価値観を持っている前提で、話し合えるかどうかなのだと思います。

もともと違う人間なのだから当たり前です。でも、一緒に歩んでいくと決めたのだから、諦めずにお互いの価値観を少しずつすり合わせていく。それが夫婦なのだと思いました。

準備不足だった自分と、見えていない妻の支えに感謝

今でも僕は失敗します。きっとこれからも失敗します。ゆで卵くらいのことでまた揉めるかもしれません(笑)。
でも、そのたびに話し合えばいい。相手を変えようとするのではなく、相手を理解しようとする。完璧な夫婦を目指すのではなく、対話できる夫婦でいる。それが大切なのだと思います。

この連載を書きながら、改めて気づいたことがあります。それは、僕がいかに準備をしないままパパになったかということです。子どもが生まれれば自然と父親になれる。どこかでそう思っていました。

でも、実際は違いました。父親になることと、父親として生きることは別でした。
何も知らないままスタートラインに立ち、奥さんにたくさん迷惑をかけながら、少しずつ学んできたのだと思います。

そしてもう一つ。見えていること以上に、見えていない支えの方がずっと多くありました。特に、子どもが中心の生活になり、自分のペースで物事を進められないこと。
僕が仕事をしている間も、僕が気づいていないところで、奥さんは毎日そんな日々を過ごしていました。

だからこそ、感謝を忘れてはいけないと思います。この連載を書きながら、そんなことを改めて感じました。

そして、これからもこの気持ちを忘れずにいたいと思います。きっとまた失敗するし、また怒られるし、また空回りもすると思います(笑)。

それでも、今日感じた感謝を忘れずに、日々を過ごしていきたいと思います。
何より、奥さんと一緒に親になれて良かった。そう思っています。

パパ1年生、これからも夫婦で「家族」になっていく

この連載を書くことで、僕自身もこの一年を振り返ることができました。そして、もしこれからパパになる人や、今まさに育児に奮闘しているパパたちにとって、少しでも参考になったり、「自分だけじゃないんだ」と思ってもらえたら嬉しいです。

そして最後に。この連載を書くにあたって、奥さんにも毎回読んでもらいました。連載を通して、「そんなこともあったね」と笑うこともあれば、「いや、私は全然笑えないけど」ということもあったと思います。

きっとイライラすることもたくさんあったはずです。それでも、一つひとつの出来事を振り返りながら、反省する僕に付き合ってくれて、本当にありがとう。

パパ1年生。今日も空回り中。でも、これからも夫婦で話し合いながら、少しずつ家族になっていこうと思います。
全5回を、お読みいただきありがとうございました。